家賃収入の経費一覧【2026年版】大家が落とせるもの・落とせないもの完全リスト

「この支出、経費で落とせるの?」——家賃収入のある個人大家さんが確定申告で最も迷うポイントです。 経費を漏らせば税金を払いすぎ、逆に入れすぎれば税務署から否認されるリスクがあります。 この記事では、個人大家が経費にできる項目を17分類の一覧表で整理し、 OK/条件付きOK/NGの判定基準をひとつずつ解説します。
1. 経費計上の大原則
不動産所得の必要経費にできるのは、「家賃収入を得るために直接必要な費用」のみです(国税庁タックスアンサーNo.1370)。 判定の軸はシンプルで、家事費(プライベートな支出)と明確に区分できるかどうか。 大家業と生活の両方に関わる支出は、事業に使った分だけを合理的な基準で按分すれば経費にできます。
逆に言えば、「大家業に関係がある気がする」だけでは足りません。領収書+用途の記録で「収入との直接の関係」を説明できることが、 すべての経費計上の前提条件です。
2. 【一覧表】経費にできる17項目
個人大家の経費を17項目に分類しました。◎=原則OK、△=条件付き(按分・要件あり)、✕=NGです。
| 項目 | 判定 | ポイント |
|---|---|---|
| 1. 租税公課 | ◎ | 固定資産税・都市計画税・不動産取得税・個人事業税。所得税/住民税はNG |
| 2. 損害保険料 | ◎ | 火災保険・地震保険。長期一括払いは当年分のみ |
| 3. 修繕費 | △ | 原状回復はOK、価値を高める工事は資本的支出(減価償却) |
| 4. 減価償却費 | ◎ | 建物・設備の取得費を耐用年数で配分。お金が出ていかない経費 |
| 5. 借入金利息 | △ | 利息のみOK。元本返済はNG。土地分利息は損益通算制限あり |
| 6. 管理委託料 | ◎ | 管理会社への委託手数料。集金代行・巡回清掃なども含む |
| 7. 入居者募集費 | ◎ | 広告料(AD)・募集チラシ・ポータル掲載費 |
| 8. 仲介手数料 | △ | 入居付けの仲介はOK。物件購入時の仲介は取得費(減価償却) |
| 9. 共用部水道光熱費 | ◎ | 廊下・階段の電気代、共用水道など。オーナー負担分 |
| 10. 通信費 | △ | 大家業に使った分を按分。専用回線なら全額OK |
| 11. 旅費交通費 | △ | 物件視察・管理会社訪問など。目的の記録が必須 |
| 12. 接待交際費 | △ | 管理会社・仲介業者との打合せ飲食など。相手と目的の記録必須 |
| 13. 新聞図書費 | △ | 不動産・税務関連の書籍/雑誌はOK。一般紙・娯楽誌はNG |
| 14. 消耗品費 | ◎ | 清掃用具・電球・文具・プリンタインクなど大家業に使う物品 |
| 15. 税理士報酬 | ◎ | 確定申告の依頼・税務相談の費用 |
| 16. 立退料・解体費 | △ | 賃貸継続目的はOK。売却・自己利用目的だと経費にならない場合あり |
| 17. 青色事業専従者給与 | △ | 事業的規模(おおむね5棟10室)+届出が条件 |
以下、特に間違いやすい3項目を詳しく見ていきます。
租税公課:OKな税金とNGな税金
物件にかかる税金は経費、自分の所得にかかる税金は経費外と覚えてください。
- OK:固定資産税・都市計画税(賃貸物件分)、不動産取得税、 登録免許税、印紙税、事業的規模の場合の個人事業税
- NG:所得税・住民税(所得への課税であり、収入を得るための費用ではない)、 延滞税・加算税などのペナルティ
借入金利息:元本はNG、土地分には制限も
アパートローンの返済額のうち、経費になるのは利息部分のみです。 元本返済は「借りたお金を返しているだけ」なので経費になりません。 返済予定表で利息と元本を分けて記録しましょう。
もうひとつの注意点が土地分利息の損益通算制限。 不動産所得が赤字になった場合、赤字のうち「土地の取得に係る借入金利息」に相当する部分は、 給与所得など他の所得と損益通算できません。土地建物一括ローンの場合は按分計算が必要です。
修繕費:20万円未満・3年周期の形式基準
原状回復のための支出は修繕費として全額その年の経費、 物件の価値や耐久性を高める支出は資本的支出として減価償却です。 迷ったときの形式基準として、1件20万円未満の支出、 またはおおむね3年以内の周期で行われる修繕は、 内容を問わず修繕費として処理できます。 判定フローの詳細は修繕費 vs 資本的支出の判定ガイドを、減価償却に回った場合の計算は減価償却の計算方法をご覧ください。
3. グレーゾーン5選(按分で一部OK)
大家業と生活の両方にまたがる支出は、事業に使った割合だけ経費にできます。 代表的な5つと按分の考え方は次のとおりです。
- 自家用車のガソリン代・高速代:物件視察・現地対応に使った分を走行距離ベースで按分。 「いつ・どの物件へ・何のために」の走行記録が根拠になります。
- スマホの通信費:入居者・管理会社とのやり取り、募集対応に使う割合を、 使用時間や日数で按分(例:事業使用3割なら30%)。
- 自宅の一部を事務所として使用:帳簿付けや書類保管に使う部屋の面積割合で家賃・電気代を按分。 持ち家の場合は住宅ローン控除との関係に注意が必要です。
- 物件視察を兼ねた旅行:視察に直接かかった交通費・宿泊分のみOK。観光部分は家事費です。 視察先の物件資料や写真を残しておきましょう。
- セミナー・懇親会:不動産経営に直接関係するセミナー受講料はOK。 懇親会は情報交換など事業目的が説明できる範囲で。
グレーゾーンで共通するのは、按分根拠の記録が生命線だということ。 税務調査で問われるのは金額の大小より「なぜその割合なのか」です。 按分比率を決めたら、根拠(面積図・走行記録・使用時間メモ)とセットで保存してください。
4. 経費にできないもの代表例
「事業に関係ありそうで実はNG」の代表例です。
- スーツ・腕時計:大家業専用と証明できず、家事費と区分不能
- 私的な飲食・家族との食事:事業目的が説明できない交際費はNG
- 自宅(非賃貸部分)の修繕:収入を生まない資産への支出
- ローンの元本返済:借入金の返済であり費用ではない
- 敷金・保証金(返還義務のあるもの):預り金であり、そもそも収入にも経費にもならない
5. よくある3つの失敗
- 用途メモの無い領収書:金額と日付だけの領収書は、後から「何のための支出か」を説明できません。 受け取ったその場で「◯◯アパート 廊下電球交換」のように用途を書き添える習慣を。
- 年またぎ前払い費用の期間対応漏れ:火災保険の長期一括払いや翌年分の前払い費用は、その年に対応する期間分のみが経費です。 支払った年に全額計上すると否認対象になります。
- 「白色だから記帳しなくていい」という誤解:白色申告でも記帳義務と帳簿保存義務はあります(2014年から全事業者に義務化)。 どうせ記帳するなら、控除が受けられる青色申告を選ばない理由はありません。 詳しくは白色申告と青色申告10万円控除の比較と青色申告65万円控除の条件をご覧ください。
なお、給与所得者で不動産所得が年間20万円以下なら所得税の確定申告は不要ですが、 住民税の申告は別途必要です。この「20万円ルール」の詳細はサラリーマン大家の20万円ルール解説を、確定申告全体の流れは大家さんの確定申告ガイドをどうぞ。
6. 経費管理を仕組み化する
経費計上の成否は、結局のところ日々の記録の質で決まります。 「レシートを撮って記録する → 勘定科目に分類する → 確定申告用に集計する」—— この流れを申告直前の2月にまとめてやるのではなく、毎月の習慣にしてしまうのが最も確実です。
OwnersDeskは2〜10物件の個人大家さん向けに、家賃入金と経費の記録・分類・集計を一元化できます。フリープラン ¥0(1物件・3室まで)から始められ、 スタンダードは¥980/月・¥9,800/年(税込、3物件まで・室数無制限)、 AI自動分類・PDF帳票・ローン管理まで使えるプロは¥4,980/月・¥47,760/年(税込)です。 無料トライアルはありませんが、フリープランは期間無制限で使えます (有料プランの課金は申込手続き完了時に開始)。 詳しくは料金ページをご覧ください。
よくある質問
- Q1. 経費はいくらまで計上できますか?
上限はありません。実額主義なので、「家賃収入を得るために直接必要」で 「領収書などの証憑がある」支出は全額計上できます。 ただし毎年赤字が続くと税務署の確認対象になりやすいため、 按分根拠と用途の記録はより丁寧に。 - Q2. 自宅の家賃や電気代は経費になりますか?
自宅の一部を大家業の事務所として使っているなら、面積や使用時間で合理的に按分した分は経費にできます。 按分比率の根拠(間取り図+使用部屋の面積計算など)をメモで残すことが必須です。 - Q3. 車のガソリン代・高速代は?
物件視察や管理対応など大家業に使った分のみ按分して経費にできます。 「日付・行き先・目的」の走行記録が按分の根拠になります。通勤や買い物との混同はNGです。 - Q4. 領収書は何年保存すればいいですか?
青色申告は7年、白色申告は5年が原則です。 メールやWebで受け取った電子取引データは、紙に印刷しての保存ではなく 電子帳簿保存法の要件に沿った電子保存が必要です。詳しくは電子帳簿保存法の大家向けガイドをご覧ください。
まとめ
経費の判定軸はただひとつ、「家賃収入を得るために直接必要か」。 ◎の項目は漏れなく計上し、△の項目は按分根拠を記録し、✕の項目は潔く諦める—— この3つを徹底すれば、税金を払いすぎることも、否認に怯えることもなくなります。
本記事は2026年7月時点の制度に基づく一般的な情報であり、 個別の税務判断は税理士・税務署等の専門家にご確認ください。
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