電子帳簿保存法、大家はどこまで対応すればいい?2026年最新ルール

2024年1月から電子帳簿保存法の改正が完全施行され、電子取引で受け取った書類は 電子のまま保存することが義務化されました。個人大家さんにとっても他人事ではありません。 この記事では、2〜10物件の小規模オーナーが最低限対応すべきポイントを整理します。
1. 電子帳簿保存法、なぜ大家にも関係するのか
賃貸経営は事業所得ではなく不動産所得ですが、青色申告・白色申告にかかわらず 「所得税法上の帳簿書類保存義務」が課されます。電子帳簿保存法はこの保存方法のルールです。 つまり、確定申告をしている大家はほぼ全員対象です。
2. 3つの保存区分を理解する
- 電子帳簿保存:会計ソフトで作った帳簿を電子データで保存(任意)
- スキャナ保存:紙の領収書をスキャンして電子保存(任意)
- 電子取引保存:メール添付PDFなど、最初から電子で受け取った書類は電子保存(義務)
義務なのは最後の「電子取引保存」だけです。ここだけ押さえれば法的には問題ありません。
3. 「電子取引」に該当する大家の典型例
- 管理会社からメールで送られてくる月次収支報告書のPDF
- 火災保険料の電子領収書(マイページからダウンロード)
- Amazon や楽天で購入した修繕資材の電子領収書
- 税理士からメール添付で届く請求書
- 固定資産税のWeb明細(自治体サイトからダウンロード)
これらは紙に印刷して保存してもNG。電子のまま、改竄防止措置を施して保存する必要があります。
4. 改竄防止要件(真実性の確保)
電子データの改竄防止措置は、以下のいずれかを満たす必要があります。
- タイムスタンプを付与する
- 訂正削除の履歴が残るシステムを使う
- 訂正削除ができないシステムを使う
- 訂正削除の防止に関する事務処理規程を定めて運用する
4つ目の「事務処理規程」は、システム導入なしで対応できる方法ですが、規程を作って社内(家族内)で運用する必要があります。 実務的にはシステム(クラウドサービス)で対応するのが最も楽です。
5. 検索要件(可視性の確保)
保存したデータは以下の条件で検索できる必要があります。
- 取引年月日
- 取引金額
- 取引先名称
ただし、2課税年度前(基準期間)の売上高が5,000万円以下の事業者は、税務調査の際にデータのダウンロードの求めに応じられるようにしておけば、 検索要件は不要とされています。2023年12月31日までは1,000万円以下が基準でしたが、2024年1月1日以後に保存する分から5,000万円以下に引き上げられました。 ほとんどの個人大家はこちらに該当します。 (出典:国税庁「電子帳簿保存法一問一答(電子取引関係)」/2026年9月19日確認)
6. 2024年1月以後のルール(緩和された点と、終わった措置)
2024年1月1日以後に保存する電子取引データについて、中小事業者向けに緩和された点があります。 一方で、それまであった経過措置は終了しているので、両方を分けて押さえてください。
- 緩和された点:検索要件が不要になる売上高の基準が、1,000万円以下から5,000万円以下(2課税年度前)に引き上げられました。
- 終了した措置:プリントアウトの保存で足りるとされていた「宥恕措置」は2023年12月31日で終了しています。現在は「猶予措置」に置き換わっており、 相当の理由があると認められる場合でも電子データそのものの保存は必要です (ダウンロードの求めと、出力書面の提示・提出に応じられることが条件)。
つまり「紙に印刷しておけばデータは捨ててよい」という状態は、もうありません。 猶予措置に当てはまる場合でも、受け取ったデータ自体は残しておく必要があります。 (出典:国税庁「電子帳簿保存法一問一答(電子取引関係)」/2026年9月19日確認)
7. 最低限やるべき3つのアクション
- メール添付の請求書・領収書を専用フォルダに整理:クラウドストレージ(Google Drive, Dropbox)に「2026年_電子取引」のようなフォルダを作り、 ファイル名に「日付_取引先_金額」を入れて保存する。
- 事務処理規程を作る(システムを使わない場合):国税庁のサイトにサンプルがあるので、名前を入れて署名するだけ。5分で完了します。
- または電子帳簿保存法対応のシステムを使う:タイムスタンプ・改竄検知・検索が自動で行われ、事務処理規程は不要になります。
8. 違反したらどうなるのか
直ちに重い罰則があるわけではありません。ただし、
- 青色申告の承認取消リスク(65万円控除を失う)
- 税務調査で「帳簿不備」とされ推計課税を受けるリスク
- 加算税・重加算税の対象
現在は「猶予措置」があるため、相当の理由が認められればただちに問題とされるわけではありません。 ただし前述のとおり、猶予措置でも電子データそのものの保存は必要です。
9. OwnersDeskの書類保管でできること・できないこと
OwnersDeskでは、アップロードした書類に改ざん検知用のSHA-256ハッシュとアップロード日時を記録し、 取引日・金額・取引先での検索に対応しています。 ※認定タイムスタンプは付与していません。電子取引保存・スキャナ保存の各要件を満たすかどうかは 保存の運用(事務処理規程の整備など)によりますので、紙の原本を処分する前に税理士にご確認ください。
まとめ
電子帳簿保存法は「電子で受け取ったものは電子のまま」というシンプルなルール。 メール添付の書類を専用フォルダに整理するだけでも、第一歩としては十分です。 確定申告を青色で続けたい大家さんは、今年中に仕組みを整えておくことをおすすめします。
本記事は一般的な情報提供であり、具体的な税務判断は税理士にご相談ください。
ツール選びで迷ったら: 家賃管理アプリおすすめ9選【2026年比較】