大家さんの確定申告ガイド|不動産所得の書き方と必要経費の全リスト【2026年版】
不動産所得のある個人大家さんにとって、毎年2〜3月の確定申告は大きな山場です。 「どこまでが経費になるのか」「減価償却はどう計算するのか」「青色申告と白色申告、どちらが得か」—— この記事では、2〜10物件を所有する小規模大家さんが、確定申告で迷わず・損せず申告を終えるためのポイントをまとめます。
1. そもそも確定申告が必要な大家さんとは
給与所得者(会社員)で不動産所得が年間20万円以下なら申告は不要です。 ただし住民税の申告は別途必要な点に注意。また、ふるさと納税や医療費控除などで確定申告をする場合、 20万円以下の不動産所得も合わせて申告する必要があります。
2. 不動産所得の基本計算式
不動産所得 = 総収入金額 − 必要経費
総収入金額には家賃、礼金、更新料、駐車場収入、太陽光売電収入などが含まれます。 敷金・保証金のうち返還しないと確定した部分も収入になります。
3. 必要経費になるもの・ならないもの
経費になる主なもの:
- 管理会社への管理委託料
- 修繕費(原状回復・破損修理)
- 火災保険料・地震保険料
- 固定資産税・都市計画税
- ローンの利息部分(元本は不可)
- 減価償却費
- 広告宣伝費(空室募集チラシ等)
- 税理士報酬
- 不動産取得税(初年度)
経費にならないもの:
- ローンの元本返済
- 所得税・住民税
- 生活費・私的な交際費
- 資本的支出(耐用年数を延ばす大規模修繕)
4. 修繕費 vs 資本的支出の判定
大家さんが最も迷うのがこの区分。判定を誤ると後から修正申告になる可能性があります。
- 修繕費(全額その年の経費):壊れた箇所の原状回復、通常のメンテナンス。例:給湯器交換、クロス張替、水漏れ修理。
- 資本的支出(減価償却で複数年に配分):建物の価値や耐久性を高める支出。例:外壁全面リフォーム、部屋の間取り変更、新設備の増築。
迷ったら60万円未満、かつ3年周期以内の修繕は修繕費として処理可能という 形式基準もあります(国税庁通達)。
5. 減価償却の計算
建物は耐用年数に応じて毎年一定額を経費化します。
- 木造:22年
- 軽量鉄骨:19年(骨格材の厚みによる)
- 重量鉄骨:34年
- RC(鉄筋コンクリート):47年
中古物件の場合、簡便法で計算します。 築年数が法定耐用年数を超えていれば「法定耐用年数 × 20%」(小数点以下切り捨て)。 超えていなければ「(法定耐用年数 − 経過年数)+ 経過年数 × 20%」。
6. 青色申告を選ぶべき理由
青色申告にすると最大65万円の特別控除が受けられます(電子申告+複式簿記)。 さらに、赤字を3年間繰り越せる、家族への給与を経費にできる、などのメリットも。
注意:青色申告で65万円控除を受けるには、不動産所得が事業的規模(おおむね5棟10室以上) である必要があります。それ未満でも10万円控除は受けられます。
7. インボイス制度と大家
居住用住宅の家賃は消費税非課税のため、多くの個人大家はインボイス発行事業者 に登録する必要はありません。駐車場(住宅と別契約)・事業用テナント・太陽光売電がある場合は 個別に判断が必要です。
8. 電子帳簿保存法への対応
2024年1月から、メール添付PDFで受領した請求書・領収書は電子のまま保存が義務化。 紙に印刷して保存はNGです。タイムスタンプか訂正履歴を残せるシステムで保管する必要があります。
9. 確定申告で提出する主な書類
- 確定申告書(AまたはB)
- 不動産所得の収支内訳書(白色)または青色申告決算書
- 源泉徴収票(給与所得がある場合)
- 社会保険料・生命保険料控除証明書
- 医療費控除の明細書(該当者のみ)
10. 確定申告の準備を楽にする方法
エクセルと紙の領収書で1年分を整理するのは、毎年20時間以上かかる作業です。 家賃入金・経費・修繕記録を日々自動で記録しておけば、 2月になって慌てる必要はありません。
OwnersDeskは、不動産所得計算書フォーマットのCSV/PDFを1クリックで出力できます。 そのまま税理士に渡すか、e-Taxで申告画面にインポートするだけ。確定申告準備は30分で完了します。
まとめ
確定申告は「1年ぶんの記録を整理する作業」ではなく、「日々の記録をまとめて提出する作業」です。 毎月の入金・経費をコツコツ記録していれば、申告は驚くほど簡単に終わります。
本記事は一般的な情報提供であり、具体的な税務判断は税理士にご相談ください。