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定期借家契約とは?普通借家との違い・大家のメリットと有効にする手続き【2026年版】

定期借家契約とは?普通借家との違い・大家のメリットと有効にする手続き【2026年版】
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「問題のある入居者に長く居座られたくない」「数年後に建て替え・自己利用を考えている」—— そんな大家さんの悩みに応えるのが定期借家契約です。 普通借家契約と違い、期間満了で確実に契約が終了するのが最大の特徴ですが、 手続きに不備があると「ただの普通借家契約」に転落してしまう落とし穴もあります。 この記事では、定期借家と普通借家の違い、大家側のメリット・注意点、 そして契約を有効に成立させるための手続きを、個人大家さん目線で整理します。

1. 定期借家契約とは|普通借家との根本的な違い

建物の賃貸借契約には、大きく分けて普通借家契約定期借家契約の2種類があります(いずれも借地借家法が根拠)。 両者を分ける決定的な違いは、「契約が更新されるかどうか」の一点です。

普通借家契約では、借主が住み続けたい限り契約は更新され、 大家が更新を拒むには「正当事由」(自己使用の必要性+立退料など)が必要です。 つまり借主の居住権が非常に強く保護されており、 大家の都合だけで出て行ってもらうことは基本的にできません。

一方の定期借家契約は、あらかじめ定めた期間が満了すると更新されずに確定的に終了します。 引き続き貸したい場合は、当事者双方の合意で「再契約」を結び直す形になります。 大家が主導権を持てる契約類型だと言えます。

2. 【比較表】定期借家契約 vs 普通借家契約

大家さんが判断で押さえるべき違いを、7つの項目で比較しました。

項目定期借家契約普通借家契約
契約の更新なし(期間満了で終了)あり(原則更新される)
契約期間自由(1年未満も有効)1年未満は「期間の定めなし」扱い
契約方法書面が必須+事前説明が必要口頭でも可(書面が一般的)
終了時の手続き終了通知が必要(1年以上の契約)更新拒絶に正当事由が必要
借主の中途解約原則不可(一定要件で例外あり)特約に従う(通常は可能)
賃料の増減額請求特約で排除できる減額請求は排除不可
大家の主導権強い(確実に明渡し)弱い(借主保護が厚い)

3. 大家側のメリット4つ

定期借家契約が大家さんにもたらす利点は、大きく4つあります。

  • 期間満了で確実に明け渡してもらえる:建て替え・売却・親族の入居など、将来の予定が決まっている物件で特に有効です。 普通借家のように立退料や正当事由の交渉で揉めることがありません。
  • 問題入居者のリスクを抑えられる:騒音・ルール違反などがあっても、期間満了で再契約しなければ入れ替えが可能。 「一度貸したら簡単に出てもらえない」というプレッシャーが軽くなります。
  • 家賃を特約で固定できる:普通借家では借主からの賃料減額請求を契約で排除できませんが、 定期借家なら増額・減額とも特約で排除でき、賃料計画が立てやすくなります。
  • 短期・一時利用のニーズに対応できる:転勤中の持ち家を数年だけ貸すリロケーションや、 期間限定の貸し出しにも柔軟に使えます。

4. 大家側のデメリット・注意点

メリットの裏側で、次の点には注意が必要です。

  • 借主に敬遠されやすい:「更新できない=いつか出なければならない」ため、 普通借家より入居希望者が集まりにくい傾向があります。 結果として家賃を下げがちになり、空室リスクと表裏一体です。 募集条件の工夫は空室対策15選も参考にしてください。
  • 手続きが煩雑で、不備があると無効になる:後述する事前説明書面終了通知を怠ると、 定期借家としての効力が生じず、普通借家契約として扱われてしまいます。 「期間満了で終了するはずが、更新を拒めない」という最悪の事態になり得ます。
  • 再契約のたびに事務負担がかかる:継続して貸す場合も自動更新はされず、その都度あらためて契約し直す必要があります。

5. 定期借家契約を有効にする3つの手続き

定期借家契約は、普通借家契約書に「更新しない」と書くだけでは成立しません。 借地借家法が定める手続きを踏んで初めて効力が生じます。

① 事前説明書面の交付・説明

契約締結の前に、大家(または管理会社・仲介)は借主に対し、 「この契約には更新がなく、期間満了で終了する」旨を記載した書面を交付して説明しなければなりません。この事前説明書面は、契約書とは別個の書面である必要があります。 契約書に条項として書いただけ、あるいは説明を省いた場合、 定期借家の効力が認められず普通借家扱いになった裁判例があります。

② 書面(または電磁的記録)による契約

定期借家契約そのものも、書面で結ぶことが必須です。 2022年5月の法改正で、借主の承諾があれば電子契約(電磁的記録)による締結も認められました。 契約書には契約期間と「更新がない」旨を明記します。

③ 期間満了前の終了通知

契約期間が1年以上の場合、大家は期間満了の1年前から6か月前までの間に、 借主へ「期間満了により契約が終了する」旨を通知しなければなりません。 この通知を怠ると、借主に対して終了を主張できなくなります (通知が遅れた場合は、通知から6か月経過後に終了を主張できます)。 更新型の普通借家における更新手続きの考え方は賃貸契約の更新手続きガイドと併せて確認しておくと、両者の違いが整理できます。

なお借主側の中途解約は原則できませんが、床面積200㎡未満の居住用建物で、転勤・療養・親族の介護など やむを得ない事情がある場合は、借主から解約を申し入れることができます (申入れから1か月で契約終了)。

6. こんな大家さんに向いている

定期借家契約は万能ではなく、物件の事情によって向き・不向きがあります。

  • 向いている:数年後に建て替え・売却・自己利用の予定がある/転勤等で持ち家を一時的に貸す/過去に入居者トラブルで苦労した物件
  • 慎重に:長期安定入居を最優先したい/賃貸需要が弱く空室が埋まりにくいエリア/手続きの管理に手が回らない

入居者選びの段階でトラブルの芽を摘む視点は入居者審査の基準とNGサインも参考になります。 賃料改定を特約で固定する定期借家に対し、普通借家で値上げを進める手順は家賃値上げの正しい進め方をご覧ください。

7. 契約期間と通知期限を管理し損ねない仕組みを

定期借家契約でいちばん怖いのは、「終了通知の出し忘れ」です。 1年前〜6か月前という限られた通知期間を逃すと、 せっかくの定期借家のメリットが使えなくなってしまいます。 契約期間・更新/終了の期限・賃料といった情報は、 物件ごとに一元管理し、期限が近づいたら気づける状態にしておくことが欠かせません。

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よくある質問

  • Q1. 普通借家契約を、途中から定期借家契約に切り替えられますか?
    居住用建物では、既存の普通借家契約を合意解約して定期借家に切り替えることは 原則として認められていません(借主保護のための経過措置)。 事業用建物では合意による切り替えが可能です。個別の可否は専門家にご確認ください。
  • Q2. 契約期間は何年にすればいいですか?
    定期借家は期間の定めが自由で、1年未満でも有効です。 ただし1年以上にすると終了通知の義務が発生します。 将来の予定(建て替え時期など)から逆算し、借主が集まりやすい年数とのバランスで決めましょう。
  • Q3. 再契約は必ずしないといけませんか?
    いいえ。再契約するかどうかは大家・借主双方の自由です。 引き続き貸したい場合のみ、あらためて事前説明・書面契約の手続きを踏んで再契約します。 再契約時も38条の事前説明書面が必要とされる点に注意してください。
  • Q4. 事前説明を忘れて契約してしまいました。どうなりますか?
    事前説明書面の交付・説明を欠くと、定期借家としての効力が生じず、 普通借家契約として扱われるおそれがあります。 この場合は更新を拒めなくなるため、締結前の手続きが極めて重要です。

まとめ

定期借家契約は、期間満了で確実に明渡しを受けられるという 大家にとって強力な選択肢です。一方で、事前説明書面・書面契約・終了通知という 手続きのいずれかを欠くと効力が失われるという厳しさもあります。 「将来の予定が決まっている物件」「入居者リスクを抑えたい物件」では有力な一手ですが、 手続きの正確さと期限管理が成否を分けます。

本記事は2026年7月時点の借地借家法に基づく一般的な情報であり、 個別の契約内容・法律判断は弁護士等の専門家にご確認ください。

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